貴船神社
広島県江田島市沖美町高祖108
沖美町畑の漁港を過ぎたあたりからぽつぽつと雨が降り出した。朝は快晴だったのでにわか雨かと思ったが、鹿田公園のある峠を越える頃には本格的に降り出して止む気配がない。
三高港の手前で立派な絵馬堂のある神社を見つけたので、雨宿りをさせてもらうことにした。
鳥居をくぐるとすぐに絵馬堂があり、その奥に拝殿があるので雨に濡れずにお参りができる。同じような建物をほかの所でも見たけれど、この地方に特徴的な建て方なのだろうか。絵馬額が多いのも東京ではあまり見ない特徴だ。
天狗の面をつけた舞姿や、軍艦などの絵や写真に混じって、こどもを背負った女性が海で遭難している様子を描いたものがあった。額の下に8名の名前が書かれており、「下記の八名は七月十八日夕方廿日市沖にて難船したる女を見て救助したるものなり 大正十五年八月吉日」と説明されている。
「板子一枚下は地獄」といわれるように、海で暮らす人たちはいつも危険と隣り合わせだ。神仏に祈る気持ちは、陸地で暮らす我々とは比較にならないほどに強いことだろう。改めてそれを再認識させられた、絵馬額との出会いだった。