中村春吉碑
広島県呉市豊町御手洗93-2 御手洗天満宮
明治時代に自転車で世界一周の冒険旅行をした日本人がいた。大崎下島出身の中村春吉(はるきち)という人で、とびしま海道の途中、御手洗天満宮の境内にその記念碑が立っている。しまなみ海道をはじめとする瀬戸内のサイクリングロードを走る自転車乗りにとっては、一度は訪れるべきメッカともいえる場所かもしれない。
明治42年(1909)に出版された「中村春吉自転車世界無銭旅行」(押川春浪編述)の題名にあるとおり、彼の旅は事前にまとまった旅費を用意しない、いわゆる無銭旅行だった。当時すでに自転車による世界一周の前例はあったが、無銭で行なったのは自分が初めてだと言っていたらしい。
わたしも、世界一周は無理だとしても、たとえばパリのシャンゼリゼ通りを自転車で走る、なんていう経験はしてみたい。台湾一周(環島)も魅力的だ。
本人の写真付きの新しい碑は平成23年(2011)に建てられたもの。その後ろの大きな碑は昭和27年(1952)の建立で「霊道法ノ祖中村先生記念碑」と書いてある。冒険家として活動したのちの後半生では、「霊動法」という精神的医術の普及活動を行っていたのだそうだ。