2019年9月25日(水)

御 手 洗

広島県呉市豊町御手洗209 御手洗郵便局周辺

春蘭

江戸時代に風待ち、潮待ちの港町として栄えた御手洗(みたらい)には、当時から残る古い建物が随所にあり、国から重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。江戸時代の名残もいいが、わたしにはそのあとの時代、大正・昭和の町並みが印象に残った。

下蒲刈警察官駐在所

御手洗地区のほぼ中央、恵美須神社の裏から、ガイドブックなどに必ず紹介される乙女座の前を通って、天満宮へと歩いていく道の雰囲気がいい。車はもちろん、人でもすれ違いには互いを意識しなければならないほどの細い路地のなかでは時が止まっているように感じられる。

「院醫智越」と昔のままの看板が掛かった古い洋館はゲストハウスに変わっているけれど、ところどころペンキが剥げたままなのは手入れが追い付かないのか、そういう味わいなのか。古い琺瑯看板や、角のタバコ屋さん。ジブリ映画に出てきそうな時計職人のいる時計屋もある。郵便ポストはもちろん丸型で、その先の洋館は床屋さんだ。

御手洗に宿をとって、到着した夕方と出発前の早朝。散策をしたのがどちらも人の少ない時間帯だったので、ノスタルジックな雰囲気がより一層強く感じられたのかもしれない。とびしま海道の奥座敷、行きにくいところではあるけれど絶対に素通りはできない素敵な港町だ。