海を見ていたジゾー
広島県尾道市瀬戸田町福田677付近の海岸
「海を見ていたジョニー」
小説だったか流行歌だったか思い出せないのだが、この題名が耳について離れない。
ジョニーは、というか、人はどうして海を見ているのだろう。ただぼんやりと、あるいは何かを待って、時には涙ぐんだり、「バカヤロー」と叫んだり、走ったりしながら、なぜか人は海を見ている。
正確に言えば、見ているのは海ではなく水平線の向こうなのだろう。そこにあるかもしれない異国。それは実在する外国かもしれないし、行ったきり帰って来られない別の世界かもしれない。
そこに行きたい。知らない世界を見てみたい。あるいはそこへ行ってしまった人に会いたい。無事に帰ってきてほしい。いろいろな思いを胸に秘めて、人は静かに海を見つめ続ける。
瀬戸田の浜でお地蔵さんも海を見ていた。見つめる視線の先にあるのは西方浄土だろうか。いや、お地蔵さんが見ているのはたぶんその手前。われわれの海の暮しを、今日も温かく見守ってくれている。