究竟頂 / Mathematical Model 013
東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道
重厚な石の壁で囲われた回廊の奥からまばゆいばかりの光が差し込んでいる。発掘された古代遺跡の神殿の奥へ導かれるような、神秘的な緊張感に背筋が伸びる。
最初は天井から地上に針を刺すように下がるオブジェに気をとられていたけれど、奥まで進んで振り返ってみて、全く心が動かない自分に少し戸惑った。
「Mathematical Model 013」と名付けられたオブジェの徐々にすぼまっていく形状は、計算上、地球の裏側のブラジルをも突き抜け、宇宙の無限点に達して収束するという。作者の杉本博司がここに込めた「無限」のメッセージは、私には少しわかりにくい。
古代の茶室をイメージしたというこの空間には、金閣(鹿苑寺)の第三層と同じ「究竟頂(くっきょうちょう)」という名前がついている。改めて入口から見直して、奥へ続く光の道が無限なのだと気がついた。無限に達するというオブジェの先端もその光の中に消えている。眩いばかりの光の先は、究竟(究極)の頂(天上界)、つまり十万億土のかなたにあるという極楽浄土へと続いているのだ。