2020年6月8日(月)

湘南台文化センター

神奈川県藤沢市湘南台1-8

空

ドカンと中央に据えられた地球儀が印象的な湘南台文化センターの設計者は長谷川逸子。公開コンペで最優秀賞を受賞した1986年当時、公共建築のコンペで女性が受賞するのは初めてのことだったそうだ(竣工は1990年)。

全景

「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞の、日本女性として唯一の受賞者(2010)である妹島和世も、受賞名義は西沢立衛とのユニットSANAA。まだまだ女性には門戸の狭い業界なのかもしれない。

当初の設計案では建物の80%近くを地下に埋め、「原っぱ」と名付けた公園のような建築にしたかったのだそうだ。紆余曲折の末、建物は地上に出てきてしまったけれど、構想の一部は屋上庭園の形で残されている。

宇宙儀(市民シアター)と地球儀(プラネタリウム)、二つのドームへ続くアプローチにはせせらぎが流れ、周りを取り囲む建物は森の木々を思わせる。迷路のような空中庭園を廻れば、動物たちの足跡を見つけたり火星人に出会ったり、「風と光の樹」と名付けられたオブジェは、海に浮かぶ海賊船のようにも見える。海へ、山へ、宇宙へ。冒険大好きな子供たちでなくてもワクワクする仕掛けが満載だ。

外観はメタリックで近未来的なのに、敷地内を回遊する気分は緑豊かな自然の中で遊んでいるようだ。子どもの頃は、小さな裏山が大きな世界に思えて、その世界の果てを探して探検をしたものだった。あの頃の懐かしい思いがよみがえってきて、休館中にもかかわらず随分と長居をしてしまった。