2020年6月16日(火)

のらくろ

東京都北区田端5-4-1 田端小学校南側

のらくろ

田端にのらくろのマンホールがある。駅前でもなく、特に観光名所らしいものも見当たらない住宅街の真ん中。目の前は小学校の敷地だけど、今の子どもたちはのらくろなんて知らないよ。

戦前の田端には、芥川龍之介を中心に多くの小説家や詩人が集まって、いわゆる文士村を形成していた。田端駅前にある田端文士村記念館で配られている散策マップを見ると、ちょうどこのあたりが界隈を一周する散策コースの中心になるようだ。ここから200m程南に下った今は北区田端区民センターになっているところが、のらくろの作者・田河水泡の旧居跡だという。

田河水泡は昭和3年(1928)に評論家の小林秀雄の妹と結婚し、この地に居を構えた。翌年には小林秀雄が転がり込んできて、昭和6年(1931)まで同居していたそうだ。その後、それぞれ別のところに転居している。

田端文士村を代表するなら芥川龍之介が良いと思うが、デザイン的には難しそうだ。住んでいた期間は短いが漫画のキャラクターならちょうどいい、ということでのらくろが採用されたのだろうが、若い人たちはどう思うかな。

ちなみに「のらくろ」が発表された最初は、昭和6年(1931)の雑誌・少年倶楽部の連載。父が子どもの頃だ。わたしが小学生だった昭和44年(1969)に漫画全集が復刻刊行されてアニメが放送された(1970年)。わたしの息子たちの時代(昭和62年(1987))にものらくろの孫が主人公のアニメ「のらくろクン」が制作されたけど、さて、わたしの孫世代に再ブームはあるのかな?