サンスカルプチュア
東京都荒川区南千住8-13-1 都立汐入公園
都立汐入公園にある日時計は、なんと、デジタル式だ。
文字盤の上に立てた棒などの影で太陽の動きを時刻に変換する日時計は、アナログ式時計の最右翼、もっとも典型的な形といえるが、ここではそれを数字に変換している。左の写真の通り午後3時には「3」の字がはっきりと日時計の中央に表示されるのだ。
デジタル化とは、アナログな自然界の事象を人間の頭の中に取り込んで理解し、変換して、再構築することだ。それは自然に対する挑戦であり、ある意味、不遜な行いといえるかもしれない。だから老人は自然のままのアナログが良いと言い、世界を自分のものにしたい若者はデジタルになびく。
たとえば、デジタル写真はグラデーションが表現できないとか、アナログ放送なら雑音はあるけれど何となく聞こえる・見えるという状況がデジタルでは○か×どちらかしかない、といったようにデジタル化(=人間の再現能力)には限界がある。この日時計も季節によっては時刻ピッタリの数字を表示することができない。
それでも人類はデジタル化に挑戦する。この日時計はその心意気を表していると見るか、あるいはデジタル化の限界を皮肉っているとみるか、アート表現としてもいろいろに考えさせられる面白い作品だ。