2020年8月3日(月)

ヤマトインターナショナル

東京都大田区平和島5-1-1

エントランス

現地で見た時には、山の斜面に小さな家がびっしりと貼り付いているイタリアあたりの田舎町、あるいはもっと猥雑な香港の九龍城を見るような雰囲気があったのだが、家に帰って撮った写真を見直してみたら全然違う印象になっていた。

大和

設計者の原広司は「住居に都市を埋蔵する」という考え方をここで具現化しようとしたのだという。それを反映した、いくつもの凸凹なパターンが繰り返された建物の核心部分が樹木に隠された結果、青い空と白い壁の爽やかさばかりが目に付くようになってしまっている。

平和の森公園東側の駐車場に沿って長く横たわる偉容は豪華客船のようにも見える。客室のみならず、ショッピングセンターやレストラン、劇場、スポーツ施設、空港(ヘリポート)などの、一つの都市が持つあらゆる機能を丸呑みして海に浮かぶ複雑なイメージが、LEGO BLOCKの細かな部品を積み重ねたような外観にだぶって見える。会社の名前から、巨大戦艦を連想する人もいるようだ。

バブル真っただ中の昭和62年(1987)に完工し、映画「マルサの女2」(伊丹十三監督、1988)のロケ地になったことでも知られている。

ちなみに、会社はワニのマーク(CROCODILE)のポロシャツで知られるアパレルメーカーで、「自らが遊び心、文化を理解していないとファッションを発信することはできない」という当時の社長の考えが反映されてこういうデザインになったそうだ。