2020年7月21日(火)

神宮の杜芸術祝祭 天空海闊

東京都渋谷区代々木神園町1-1 明治神宮

名和晃平

すべてはここから始まった気がする。

ある日TVのニュースを見ていたら、白い鹿の像が空を仰いで立っていた。東北でアートフェスティバルをやっているという。何か天啓を受けたような気がして、すぐに石巻に駆け付けた。Reborn-Art Festival、2017年の夏だった。

松山智一

鹿の作者は名和晃平。その時は初めて聞く名前だと思った。実は2014年に犬島を訪れた時に「F邸」で彼の作品を見ているのだが、全く意識をしていなかったのだ。

それまでにも時折り美術館を訪れたり、散歩の途中でアートっぽいものに目をとめたりしてはいたけれど、作者を明確に意識して積極的にアートを見るようになったのはこれが最初だった気がする。

明治神宮で再会した"White Deer(Meiji Jingu)"は、深い森の中で静かに佇んでいた。鹿は鹿島神宮や春日大社では神使とされている動物だ。そう思うと何か神秘的なイメージも感じられる。元は同じ3Dデータから制作されているのだが、複製ではなく新しい作品として、その置かれている空間も併せて鑑賞の対象となっている。

近くには鹿の角と車輪を組み合わせた松山智一の"Wheels of Fortune"も展示されている。磨き上げられたステンレスの作品に森の景色が写り込んでいる。円形のパーツには神事に使われる鏡のイメージも重ねられているそうだ。

会期 : 2020年3月20日(金) 〜 12月13日(日)

(他の作品) : Animal2012-01B(三沢厚彦) | Paradise/Boundary -SINME-(船井美佐)