聖火リレー走者像
東京都大田区東蒲田1-11-17 東蒲田公園(大田区総合体育館裏)
前回の東京オリンピック(1968)の聖火リレーを記念した像が、大田区総合体育館裏の公園に建っている。作者は北村西望だというのだが、なんだか、いまいちピンとこない。
決して悪くはないのだが、例えば鶴見にある垣内治雄の箱根駅伝のランナー像のような緊張感や力強さが感じられないのだ。
北村西望といえば逞しく力感あふれる男性像に特徴のある作家だったはず。明治17年(1884)生まれの彼は制作当時すでに80代、102歳まで生きたとは言っても盛りは過ぎていたのかもしれない。
文化勲章を受章した彫刻界の大家を悪く言うつもりはないけれど、なにも無ければ今頃は二回目の東京オリンピックを楽しんでいたはず、と思うと心が少しネガティブな方向を向いてしまう。多くの人が、延期された大会が予定通りに開催できるとは思っていないのに、利権に絡んで無理を押し通そうとする人たちの行いにも腹が立つ。
無表情なように見える聖火ランナーは、そんな私の心のざわめきをよそに、開催を信じて無心に聖火を運ぼうとしている顔だ。オリンピックがどうなるかはわからないけれど、未来にリレーは繋がると信じよう。彼を見ているうちに、わたしも少しポジティブになれる気がした。