2020年9月8日(火)

希 望 / 赤い浮きII

神奈川県川崎市川崎区日進町1-11 川崎ルフロン前

希望

絶句した。

たまたま別件で立ち寄った川崎駅前で見つけたパブリックアート二点。ラッキーと思ったのもつかの間、周りに散逸する飲み物の缶やカップ、弁当などのプラゴミの量に驚いた。

赤い浮きII

駅前なので待ち合わせなどで人が集り、台座をベンチやテーブル代わりにして、ゴミを放置していくのだろう。街中に置かれるパブリックアートの宿命と言えなくもないが、これまでたくさんの作品を見てきた中に、こんなにゴミだらけの中に置かれているものは見たことがなかった。

気を取り直して簡単に周りを片付け、写真を撮り、情報を集めようとネットを見てみるが、いまいち引っ掛かりがない。どちらもそれなりの作品だと思うのだが、あまり人々の興味は惹いていないようだ。その結果がこのゴミの山なのだろうか。

自然のままの石を積上げたように見える「希望」は、一方の面がすっぱりと切り取られ、断面がきれいに磨き上げられている。川崎を支えて来た多摩川の自然と、石をも削る技術に象徴される近代工業。相反するようだが大切なこの町の二面性が表現されていると見た。

もう一つの作品の「赤い浮きII」とは不思議なタイトルだが、原題の"BUOYANT"は形容詞なので、浮きではなく、浮力があるとか、浮き上がるような、という意味だ。浮きたつような軽やかな気持ちを表している、ということなのだろう。

・「希望」粟津潔、1986

・"RED BUOYANT II"(赤い浮きII) MARY ANN E. MEARS、1984

(キャプション) : 希 望 | 赤い浮きII