川崎市電702型
神奈川県川崎市川崎区桜本1-14-3 桜川公園
川崎市電は短命だった。
明治28年(1895)の京都市電(当時は民間の京都電気鉄道)を皮切りに、全国主要都市の路面電車が続々と明治期に開業する中、川崎市電が運行を開始したのは戦時中の昭和19年(1944)。ガソリン不足で運行がままならなくなっていたバスに代わって、臨海工業地帯の軍需工場に労働者を運ぶためだった。
開業してすぐに戦災に遭い、戦後に復活したものの、モータリゼーションの波に呑まれて昭和44年(1969)には廃止されてしまった。その路線跡の一部は「市電通り」にその名を残している。
その現存する唯一の車両が、桜川公園に保存されている。
ネットの情報を見ると、以前は解説板が設置され車両も解放されていたようなのだが、今はしっかりとフェンスで囲われて中に入ることはできない。解説板は傷んで読むことができず、割れた窓ガラスにはベニヤ板がはめられている。
活躍した期間が短いと、保存車両として大切にされる期間も短いのかな。なんて、ちょっと皮肉な思いを抱いてしまった。