豊洲のベンチ
東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント
今年は屋外のパブリックアートとデザインマンホールばかりを見て回っている。
元は花の少ない冬の散歩ネタとして始めたのだが、コロナ禍で外出自粛となり、美術館などの施設も閉鎖されて散歩の行き先が無くなってしまった。それでも勤務は続いていたので、その帰り道などに、近場で人との接触も少ない所ということで始めたのが、今も続いている。
COVID-19の脅威はまだ収まっていないけれど、世の中はウィルスと共存する道を選び、GoToキャンペーンなどの動きもあって外に出る人が増えてきた。豊洲の街にも、オフィスで働く人、周辺で生活している人、大勢の人が繰り出している。
そうなるとパブリックアート鑑賞は分が悪い。まわりに自転車を止められたり、ゴミが放置されたり。今は密を避けて外でお弁当を使う人が多いので、アート作品になっているベンチにも例外なく誰かが座っている。
もちろん座ることも含めて鑑賞であるわけだから文句は言えない。タイミングを計って周りをうろうろする怪しい人になって、しばらく時間を潰す羽目になった。
豊洲のアート作品は、造船とその関連工場が立地していた町の記憶をとどめる内容になっている。力強く前進する貨車を表現した「トルクベンチ」は、再開発によって未来に向かって発展していく街をイメージさせる。その一方で、森の中で朽ちていく倒木にキノコが生えるように古い部品にキノコ形のベンチをあしらった「トヨスノコシカケ」は、機械文明が滅びたあとの未来社会を描いたSF映画の一場面に出てくるようだ。
どっちがわれわれの未来だろうか。