2020年10月12日(月)

トラのもん

東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ 森タワー

像

ロボットはチェコの作家カレル・チャペックの戯曲「R.U.R.」(1920)から誕生したといわれている。タイムマシンをメジャーにしたのは、イギリスの作家H・G・ウェルズのSF小説「The Time Machine」(1895)。どちらも作品を離れて、今や一般名称として世界中に広まっている。

絵

そのタイムマシンに乗って未来からやってきたネコ型ロボットと言えば「ドラえもん」(藤子・F・不二雄)。そのドラえもんそっくりな猫型ビジネスロボットが虎ノ門ヒルズに出没している。

その名も「トラのもん」。もちろんパクリではなく、藤子プロと共同で制作されたキャラクターだ。オフィスビルに漫画のキャラクターとは異例な感じもするが、ここで働くビジネスマンの多くはドラえもんを見て育った世代だから違和感はないのだろう。

さすがに「ドラえもん」は一般名詞化していないが、例えば、「どこでもドア」(手っ取り早い移動手段)や「ジャイアン」(乱暴者・いじめっ子・歌の下手な人)などは、作品を離れて使われても違和感を覚えることが少ないぐらい一般化している気がする。

まだ著作権の縛りはあるとはいえ、歌舞伎の要素がロックバンドのパフォーマンスや一般のファッションに取り入れられたり、シェークスピア劇のセリフが日常会話の中で引用されたりするように、ドラえもんも時代に参照される存在になりつつあるのかもしれない。