2020年10月12日(月)

六本木トンネルの壁画

東京都港区六本木7-22

穴掘り

The Beatlesのアニメーション映画"Yellow Submarine"(1968)に不思議な場面がある。

真っ白な画面に黒く塗りつぶされた無数の●が並んでいる。メンバーの一人がその中から顔を出してこれは穴だということがわかる。水平線の果てまで無数の穴が埋め尽くす"Sea of Holes"なのだ。

ジッパー

ところが別の穴から出て来た人は逆向きになっていて、天地がどっちかわからなくなってしまう。画面は地面のようでもあり天井のようにも見える。さらにその黒丸を拾って足を入れてみると空中にも穴ができている。その穴をリンゴ(Ringo Starr)はポケットにいれて持ち帰ってしまうのだ。

六本木トンネルの壁画を見て、二次元なのに三次元に見えるアニメーションの不思議な世界を、彼ららしいユーモアで表現した映画の一場面を思い出した。右の作品には「このジッパーをひっぱらないで下さい」と注釈がついているけれど、彼らならきっとこのジッパーをひっぱって、中に入ったり出てきたりしたことだろう。

浜辺らしきところに無数の穴が開いた左の絵は、まさに"Sea of Holes"だ。穴を掘っては埋めるを繰り返すという拷問があるそうだが、絵に描かれた人たちがそんなことになっていなければいいんだけれど…、と思って見ると「繋がりを求めて、懸命に穴を掘り続ける人々」だと説明があった。

子どものころ砂場でトンネル掘りをして、開通の瞬間、向かい側から掘ってきた友達と握った手の温もりを懐かしく思い出した。

ストリートペインティング事業について

(作品について) ROPPONGI SEASIDE TUNNEL | 夕方の絵 | 東京八景 | ジッパー | 砂漠中のハイビスカス