旅立ち
神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央2-10-7 横浜市鶴見図書館前
旅は道連れ世は情け。旅に出るなら、やっぱり連れがいないとね。
鶴見図書館前に立つ宇宙人のような二人組のタイトルは「旅立ち」。目の前を旧東海道が通っているので、これから京に向って旅立つ弥二さん喜多さんというわけか。横浜ビエンナーレ'93の出展作品だ。
正面を見つめる向って右側の像に対して、左側の像は少し斜めになって彼(または彼女)の方を見やっている。
「さぁ、行こうか」と促しているようでもあるし、「もう行ってしまうのだね」と名残を惜しんでいるようにも見える。連れ立って出かける二人なのか、旅立ちと見送りの図なのか。
「旅立ち」という言葉は、単に旅行に出る時だけではなく、卒業や家族からの独立など新しい世界へ踏み出す時にも使われる。二泊三日で戻ってくる旅に出るのではなく、もうここへは戻ってこない訣別の言葉。とすれば、これはやはり新しい一歩を踏みだす人を送り出す、少し悲しいけれど晴れがましくもある場面なのだな。
例年なら多くの若者が桜に見送られて新しい世界へ旅立つのだけれど、今春はコロナ禍のために、見送りも無く寂しく旅立った人や、旅立つことすらもままならなかった人が多かった。まだ世の中は元の状態に戻っていないけれど、そんな中でも一歩を踏みだした人たちの行く道に、幸多かれと祈っている。