2020年10月30日(金)

a place beyond dawn

神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3 クイーンズスクエア横浜クイーンズパーク

彫刻

まだ明けきらぬ朝まだき、惰眠をむさぼる私のシーツを天使が剥いでいく。あるいは、シーツそのものに羽が生えて飛んでいくのか。もう夢を見るのは終わり、今度はわたしが夢を見る番、そんなことを歌うように口ずさみながら飛んでいく。

翼

白いシーツのドレープが美しい。

ギリシャ神話の世界をイメージしたような雰囲気があると思ったら、作者はギリシャ生まれの方だった。

ルーブル美術館の至宝「サモトラケのニケ」や「ミロのヴィーナス」の姿がまぶたに浮かぶ。

余談だが、作者の配偶者はギリシャ王室の出身で"Prince Michael of Greece and Denmark"と呼ばれていたが、民間人である彼女と結婚したために王位継承権を放棄したそうだ。「アテネの民主主義」のイメージのあるギリシャで「ギリシャとデンマークの王子」とはどういうことだろう。

よくよく考えてみれば、地中海地域は長くローマ帝国やオスマン帝国の支配下にあったので、ギリシャが国家として独立したのは近代になってからのことだ。その初期の段階で、デンマーク王家から王子を迎えてギリシャ王室が誕生したために、ギリシャ王室はデンマーク王家でもあったということなのだそうだ。

現在のギリシャは共和制を敷いており、王室は1973年に廃止されている。

思わぬところで、歴史の勉強をしてしまった。

・"a place beyond dawn"、Marina Karella、1997