Iliad Japan
東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル メトロスクエア前
大手町の一角にある巨大なモニュメント。その大きさもさることながら、オレンジ色に塗られた派手な色使いも目を惹く。2006年のカウパレードの時に見て以来ずっと気になっていたのだが、今回、改めて見直してきた。
タイトルの"Iliad"はホメロスが書いたとされる叙事詩イーリアスの英語表記だ。トロイの木馬を思わせる巨大で圧倒的な存在感を放って、「丸の内は俺が制圧したぞ」と言わんばかりにあたりを睥睨している。
制作された1987年はバブル景気が始まって、イタ飯(イタリア料理)が流行り始めた頃だ。そうしてみると、これは巨大なペンネアラビアータに見えてくる。
わたしが学生の頃(たぶん)に見たお笑い番組で、地方出身の若者が都会に出てきて憧れの「喫茶店のスパゲッティ」を注文する、というコントをやっていた。昔のスパゲッティは、食堂ではなく喫茶店で食べる都会的でおしゃれなメニューだったのだ。
意気揚々と「スパゲッティ」と注文する彼は、ウェイターから「どのスパゲッティか?」と聞き返されて絶句する。スパゲッティといえばナポリタンしかなかった時代は終わり、街ではボンゴレやカルボナーラなど様々なメニューが登場して、「パスタ」という呼び名が定着しつつある頃だった。地方出身の彼はまだそれを知らなかった、という笑い話だ。もちろんペンネアラビアータも知らなかったことだろう。
そんな昔話を懐かしく思い出した。