影向寺の乳イチョウ
神奈川県川崎市宮前区野川本町3-4-4
樹齢600年の乳イチョウというけれど、思ったほどには乳(気根)が目立たない。長い年月を生きてきた老樹が、自分の身体を持て余してドロドロと溶けていくような、そんな姿を想像していたのでちょっと拍子抜けした。
まん丸な姿は、樹齢を感じさせない若々しさで、豊満なマダムを思わせる。ふくよかに茂った黄葉の奥、ちょっと覗いただけでは気付かない奥の方に、豊かな乳房を隠しているのかもしれない。
鐘楼の脇では、真っ赤に黄葉した紅葉が枝を広げていた。その後ろには、かなり葉を落として青空が透けて見えるようになった欅の木が、ゆく秋を惜しむように懸命に枝を広げている。
空が澄んでいるのは冬が近い証拠。寒くならないうちにたくさん走っておきたいと思うのだが、あまり外に出ることが歓迎されない今年の事情がもどかしい。