ワイルドシングス - 地形の魔力
東京都千代田区神田淡路町2-101 ワテラス(WATERRAS)
鉄とガラスとコンクリートで構築された硬質で無機的な都市空間で、最後まで生き残る野生は植物だ。舗道の敷石の隙間や壁のひび割れにもぐりこんで、あわよくば人類が絶えた後を乗っ取ってやろうと、虎視眈々とその機会を狙っている。
ワイルドシングス、野生の何か。
地底から出て来ようとしている何か得体の知れない生き物。広げた翼のようでもあり、大きなうさぎの耳のようでもあるけれど、わたしには巨大な植物の葉に見える。
例えばセミの幼虫のように、再開発前に地下に潜った「野生の何か」が、地中での長い生活を終えていざ地上に出ようとしても、地表を覆うコンクリートに塞がれて行き場を失うことだろう。何とかして地上に出られたとしても、人工的な街で生きていくのは難しいかもしれない。
これは、そんな生き物たちの絶望と怨念のエネルギーを集めて巨大化した植物が芽吹いた姿なのだとわたしには思える。
この植物が成長してどんな花を咲かせるのか、都市景観に調和するのか、対立するのか。見てみたい気がする。