野良古墳
(駄倉塚古墳)東京都狛江市中和泉1-1-1
(松原東稲荷塚古墳)東京都狛江市中和泉1-9-19
狛江市内には数多くの古墳があり、かつては「狛江百塚」とも言われていた。「狛江」という地名から「高麗(こま・こうらい・高句麗)」との関連が想起され、渡来人に由来する地方豪族のものだろうとも思われるが、近畿地方の大きな古墳群のような世界遺産はもちろん都や市の文化財にさえ指定されることも無く、今ではそのほとんどが失われている。
旧家の敷地や農地の中などに案内も無くひっそりと残されたものもあり、一部の古墳愛好家は自虐的に野良犬ならぬ「野良古墳」と呼んでいるのだそうだ(※)。
そんな野良古墳のなかでも古くからよく知られているのは、狛江駅前のマンションの敷地内にある「駄倉塚古墳」だろう。道路とマンションに削られてほとんど墳丘の体をなしていないが、周囲の景観とは不釣り合いに大きく伸びた松の木が、失われつつある遠い記憶を守ろうと頑張っている。
駄倉塚古墳の脇から調布方面にのびる旧品川道をしばらく進むと、民家の塀の中に鬱蒼とした竹林に覆われた松原東稲荷塚古墳がある。2018年頃に塀が取り払われ再開発されて全容が見えるようになったけれど、案内板などはなく野良の状態は続いているようだ。
さらに西に進んだ植木畑の中にある白井塚古墳は、近々野良を脱して公園化される計画があるらしい。
※ まりこふん「東京古墳散歩」(徳間書店)
(2018/1/30) 敷地の建物が無くなって、全体が見えるようになった松原東稲荷塚はこちら→
(記:2021年7月14日)