2021年10月14日(木)

街角に潜む魔物

東京都立川市曙町2-36 FARET立川

篠原有司男

コンピューターで線を描いたようなすっきりしたイメージのものが多いように思うFARET立川のアート作品のなかで、ひときわごちゃごちゃと醜怪な雰囲気で迫ってくる二作品。街中に現れた魔物が、人々の隙を狙ってこっそりとあたりを窺っているようなイメージだ。

彦坂尚嘉

篠原有司男の「ケンタウルス・モーターサイクル」はカエルが乗ったオートバイのお化け。作者が力任せに粘土をこねくり回した気迫が伝わってくる。

彦坂尚嘉の作品には「母と子を殺した父親のようなもの」(赤い作品)、「父親に殺された子を受精させた父親のようなもの」(青い作品)というおどろおどろしいタイトルがつけられている。

すべてがきれいに整頓され、街も明るくなってお化けや魔物が棲む場所を失ったように見える現代にも、どろどろとした制御不能の感情や説明不能の存在がまだあることを思い出させる、そんなアート作品なのだと思う。