油 壺
神奈川県三浦市三崎町諸磯 / 小網代
帆を休めたヨットが、ギュウギュウに犇めいている。波がなく穏やかだからお互いにぶつかって傷付けるような心配はないのだろう。水面が油を流したように静かなので「油壺」と呼ばれていると聞いたことがある。
現地の案内板には、戦に敗れて湾に身を投げた兵士たちの血で染まった様子が油を流したようだったためという別の説が紹介されていたが、そんな荒々しい出来事があったとは想像できないような静かな風景だ。
油壺湾は入り組んだ地形の奥にあるため、右写真では周りを山に囲まれた湖のように見える。風波の影響を受けにくいので、台風の際に漁船等が待避する避難泊地に指定されている。「壺」という名は、その辺にも由来しているのかもしれない。
左写真の諸磯湾は湾の入り口が西に開けているので、晴れていれば富士山が正面に見える名所として知られている。山頂に陽が沈むダイヤモンド富士が見られる日もあるそうだ。