石橋山古戦場
神奈川県小田原市石橋420 佐奈田霊社
今年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。
鎌倉殿とは鎌倉幕府の初代将軍源頼朝のことだ。彼を支えた13人の武士や文官を巡る群像劇が、小栗旬が演じる後の鎌倉幕府第2代執権・北条義時を中心に描かれていく。
大河ドラマは見ていなくても、あちこちで関連する情報が流されていると、それに影響されて何となくゆかりの地を訪ねてみようかという気分になってくる。吸い寄せられるように足が動いて、気が付いたら石橋山古戦場の案内板の前に立っていた。
先客が一人、熱心に案内板の説明を読んでいる。その方は大河ドラマを見ていて、ドラマの舞台の地を巡る史跡散歩を楽しんでいるのだという。わたしがしとどの窟を見て来たというと「湯河原から来たんですか?」と驚かれた(※)。
武士の合戦というと、わたしには川中島の合戦や関ケ原の戦いのような平地で大軍勢が相まみえるイメージが浮かんでくる。相模湾に鋭く切れ落ちる険しい山の中でどんな風に戦ったのだろう、と思って調べてみたら気になる情報が見つかった。
石橋山の戦いでは、戦闘開始前に頼朝方の北条時政と平家方の大庭景親が「悪口合戦」をしたというのだ。ヒーロー戦隊や美少女戦士たちが変身するときに名前や戦いの口上を名乗るのは戦国時代の武士の作法に倣っているとされているが、子どもたちがけんかをする前に「おまえのかあちゃんでべそ」などと言い合うあれも、由緒正しい戦いの作法だったのかと思うと面白い。
※ 「しとどの窟」と呼ばれる史跡は、わたしが訪ねた真鶴のほか湯河原にもあります