旧尾崎行雄邸
東京都世田谷区豪徳寺2-30-16
古い建物を見ると、いつまでもそのままに残しておいて欲しいと思うことが多い。
しかし実際に文化的あるいは景観面での価値を残しつつ維持していくには、それなりの費用が掛かるし技術面でのハードルも高い。場合によっては相続などの問題も出てくる。
単なるノスタルジーだけでは解決できない課題のために、たくさんの建物が惜しまれつつ、あるいはひっそりと消えて行った。
豪徳寺にある古い洋館が、今、保存か解体かで揺れている。
衆議院議員を連続25期63年間務め「憲政の神様」と呼ばれた政治家・尾崎行雄の妻テオドラのために彼女の父である男爵が明治21年(1888)に麻布に建てたとされる洋館で、昭和8年(1933)に持ち主が変わって当地に移築されたという。その後維持ができなくなり、令和2年(2020)に解体計画が明らかにされた。
反対運動があって計画は中止されたが、では、誰がどうするのかという問題はまだ残っている。現在は漫画家の山下和美を中心とする旧尾崎邸保存プロジェクトが、クラウドファンディングで資金を集め補修・保存へと動き出しているが、まだまだ前途は多難であるようだ。(※)
ちなみに、ワシントンD.C.の観光名所として有名なポトマック川畔の桜は、東京市長時代の尾崎が中心になって1912年に日本から贈られたものだ。祖師谷公園の仙川沿いに、里帰りした桜の木が植えられている。
※ 「旧尾崎テオドラ邸」として保存が決まり、2024年3月から公開されることになりました