津久井浜海岸
神奈川県横須賀市津久井1丁目
「あぁ、今年も夏が終わってしまった」
毎年、9月になり夜風にのって虫の声が聞こえるようになるとそう思う。外出が制限されたコロナ禍の間はもちろん、その前からいつもその思いは変わらない。夏はいつも不完全燃焼のまま終わってしまう。
学生時代の夏は、いつも山岳部の合宿でアルプスの山々を渡り歩いていた。子供の頃は毎年家族旅行で海水浴に行っていた。稲取、熱川、下田、そんな地名とともに数々の楽しい思い出がよみがえる。
年を取ってノスタルジックになっているということもあるのだろう。成人した後の思い出は、色あせて思い出のページから消えかかってさえいるようだ。
ほとんど人影のない津久井浜から秋の海を見る。沖合にはたくさんのウィンドサーフィンをする人たちの姿が見える。こちら側の寂しさとあちら側の賑わいの対比が、今のわたしの気持ちと遠い昔の思い出のように思えて切なかった。