震災遺構 浪江町立請戸小学校
福島県双葉郡浪江町大字請戸字持平56
東日本大震災の被害については、三陸→津波、福島→原発事故と類型化されがちだが、もちろん福島県内でも津波の被害はあった。その記憶を残す施設が福島県初の震災遺構、浪江町立請戸小学校だ。
海岸からわずか300mのところにある小学校は2階の床にまで達する大津波に襲われた。当時のままに残された1階の教室や給食室の滅茶苦茶な様子に、津波の激しさ、恐ろしさを思い知らされる。
2階の教室には当時の周辺の様子を再現した模型が展示されている。集落は学校より海側にあったようだが、現在の学校の周りには広々とした空き地が広がるばかりだ。
生徒たちは近くの大平山に避難して無事だったという。係の方にその場所を聞くと、はるか遠くの山並みを示して「1.5kmほど離れている」と教えてくれた。子どもなら走っても30分近くかかる距離だ。
地震発生から大平山への避難、その後、通りがかったトラックに拾われて避難所にたどり着くまでの経緯が、紙芝居のようにパネル展示されている。それを読みながら、何度も「よかった、よかった」とつぶやいていた。