2022年9月30日(金)

文字島

福島県相馬市岩子字宝迫

文字島

松川浦は海側を細長い砂州に塞がれた潟湖で、大小の島が点在する景観は日本三景の松島になぞらえて「小松島」とも呼ばれている。

小松島

その松川浦の奥座敷と呼ばれる岩子地区では、文字島、沖賀島という二つの島を間近に見ることができる。江戸時代にはその風光明媚な景観を愛でて相馬中村藩主も行楽に訪れたそうだ。

昨日の夕方に双葉町に着いてからずっと、震災の跡を訪ねてきた。誰もいなくなった町や何もない空き地、真新しい施設には「震災からの復興」という枕詞が必ず付いている。天気は良いのに素直にそれを喜べない、あの時を境に時間軸が絶たれてしまった奥行きの無い景色に寂しさを感じながら走ってきた。

ここにも、海の中にポツンと小島が浮かぶさびしい風景が広がっている。でもそれは同じさびしさでも、ここまでに感じてきたものとは少し違う感じがする。昔からお殿様や歌人が風流を感じた寂びの景色。それが今も変わらずにある、時間がつながっていることにほっとする。

今日の旅はここまで。最後にこの景色を見られてよかった。