2022年12月2日(金)

奏でる乙女

東京都港区六本木4-9-7 六本木交差点北角

ヒルズ

六本木交差点の角で、ロングスカート姿の女性が穏やかな表情を浮かべてギターを弾いている。夜の街六本木の流しの歌姫ではなく、昼下がりの泉の端でニンフが愛の歌を奏でているような、ルノアールの絵に描かれそうな雰囲気が漂っている。

像

この像を見て、子どもの頃に聞いた歌謡曲を思い出した。千賀かほるの「真夜中のギター」(作詞:吉岡治、作曲:河村利夫)。昭和44年(1969)に発表され、彼女はこの年の日本レコード大賞・新人賞を受賞した。

ただし、わたしの思い浮かべた曲のイメージはこの像とはちょっと違っている。

まだ二十歳前のボーイッシュな少女が、破れかけたジーンズをはき、夜の街の片隅の公園で地面に直に座ってギターをつま弾いている姿。そこにもう一人寂しがり屋がやってきて言葉も交わさず合わせてくる、…みたいな感じ。

乙女像の足元には、お地蔵さんでもないのに小銭が置かれていた。ストリートミュージシャンに投げ銭ということなのかな。小銭を置いた人たちにはどんな音楽が聞こえたのだろうか。

「奏でる乙女」像建立の由来 | 乙女像の再建について