2010年2月21日(日)

師岡熊野神社

神奈川県横浜市港北区師岡町1137

のの池

横浜へ走るときは多摩川の丸子橋から綱島街道に入り、菊名駅前から旧綱島街道を通っておおむね東横線に沿った道を行くことが多い。それより内陸の道は山谷の起伏が激しく、海沿いの東海道まで下ると遠回りになる。

社殿

比較的起伏の少ない道だけれど、山坂を意識させられるのは日吉で多摩川と鶴見川の分水嶺を越えるときと、鶴見川を渡った後の大倉山。近くを通る東海道新幹線もこの二ヶ所はトンネルで抜けていく。

その大倉山を越える峠付近の交差点に「熊野神社入口」と書いてあったので曲がってみた。本家紀伊半島の熊野神社のような深い鎮守の森が山の上にあったら見てみたいと思ったのだ。

最初に目に入ってきたのは灌漑用の溜池の跡といわれる「いの池」。その前から長い参道の石段を上った先に師岡熊野神社の社殿があった。その裏には清水が湧き出る「のの池」。そして、神奈川県の天然記念物に指定された社叢林が広がっている。古木が林立する鎮守の森の静けさに心が安らぐ。

森の中には貝塚の遺跡があった。木々の合間からは周囲を埋め尽くすたくさんの住宅が見える。昔も今も続く人々の営みを森の古木たちは見てきたのだなと思うと、なんだか不思議な感じがする。数十年の人生に対して、何百年を生きる木々が経験する時間の永さに想いを馳せることが、神を感じるということなのだろうか。

神社の御神木や鎮守の森の古木たちを前にすると、いつもそんなことを考える。

師岡熊野神社略記 | いの池 | 師岡熊野神社の社叢林 | 師岡熊野神社の筒粥 | 師岡貝塚

(記:2023年2月5日)