アートな多摩川団地
東京都調布市染地3丁目1-29ほか
公園の景観にアクセントを添える目的で、アート作品やそれっぽいオブジェが置かれることがある。噴水に水瓶を持った少女の像が置かれたり、花壇の真ん中にミロのビーナス風の彫像が立っていたりする。日本庭園なら石灯籠は欠かせない。
特に記名がなければ気にも留めずに見過ごしてしまうものだが、多摩川団地には捨て置くには惜しい味のあるオブジェがいくつも置かれている。もしかしたら、当時は無名だったが、後々大成されたアーティストの手になる習作なのかもしれない。
ほかにも、後年タコの滑り台として日本全国に広まることになるプレイスカルプチャー 石の山やさる山などの実験的な遊具があったり、遊具ともオブジェともつかない魚の骨やカエルの置物があったり、ベンチ代わりの景石を龍安寺の石庭のように配した休憩スペースがあったりと、芸術家の卵たちの実験場だったかのような様を呈しているのが面白い。
巨大な給水塔のデザインも前衛的だ。
東京オリンピック直後の昭和39年(1964)に着工した、あの時代の空気を感じさせてくれる「遺跡」と言えるかもしれない。