水と花と彫刻文化のある街
神奈川県横浜市港北区綱島西2-7-16 パデュ中央広場
綱島は昔、京浜の奥座敷とも言われた温泉街だった。最盛期の1960年には80軒の温泉旅館があったというが、その後の観光需要の変化や東京近郊のベッドタウン化などにより廃業が相次ぎ、今はもうその面影もない。
賑わいの去った街を何とかしようと、地域では「水と花と彫刻文化のある街」をスローガンに様々な活性化の取り組みを行っている。
その始まりとなり、象徴ともいえるのが、昭和57年(1982)にオープンしたイトーヨーカドー前のパデュ中央広場に建つ「舞い降りた愛の神話」の像だ。彫刻家一色邦彦の手になる作品で、その後、'93年の横浜ビエンナーレ出展作品なども加えて12体の彫刻・オブジェが周辺の街角に設置されている。
広場の時計台に自転車に乗る少女の飾りがついていたので、自転車つながりで写真を撮ってみて「あっ!」と思った。
「スカートの中が丸見えだ…」。
だから何?と思うかもしれないが、今の時代はそういうことに敏感になっている。決していやらしい気持ちで制作したり鑑賞するわけではないけれど、今は何となくそういうものを避けてしまう。ここに並べられている彫刻も、2000年以前の一色作品は裸婦像が多いが、それ以外の作家のものはすべて人間以外のものか抽象的なオブジェだ。
そんなわたしのモヤモヤを気に留めるそぶりも見せず、少女は雲一つない青空を天真爛漫に翔けていく。