コ ブ シ
東京都調布市深大寺南町1-25(深大寺自然広場)
雪をかぶったように白く大きなコブシの木の下に、これまた雪が降り積もったようにたくさんの花びらが落ちている。もう花を散らす時期なのかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。木の上で黒い影が何やらうごめいているのが見えた。
チィチィ、キーキーと聞こえてくる鳴き声はヒヨドリだ。どうやら花を食べているらしい。ついばみ損ねたか、あるいは気に入らずに選別されたかした花びらが落とされているのだろう。
見ている間にも、はらりはらりと雪は降り続けている。桜ならば花吹雪になるところだが、こちらはボタン雪のように大きな花びらがゆっくりと落ちてくる。
そういえば、昔の東京は春によく雪が降った。冬の間は乾燥して快晴の日が続き、雪が降ると春が来るなぁと感じたものだ。その時の雪は、水分を多く含んだ雪の結晶が固まって大きくなった、まさにこんな感じの降り方だった。
春を告げるコブシの落花を見て、そんな昔の春のことを思い出した。