2023年4月13日(木)

石 部 桜

福島県会津若松市一箕町大字八幡石部

桜

満開だったらどんなにか見事な景色だったことだろう。推定樹齢約650年の古木は、広々とした畑地の真ん中に大きく枝を広げていた。

水仙

桜の名は、当地に屋敷を構えていた石部治部大輔(いしべじぶだゆう)に因むと伝えられている。中世の会津領主葦名氏の重臣だった人だ。

江戸時代には藩主も花見に訪れたという名所で、木の周りにはいくつもの石碑が建っていた。書かれている文字は読めないが、名所であることを記したものや、訪れた文人たちが残した歌碑などだろう。

屋敷は朽ち、人は絶えてしまったけれど桜は残った。同じように、先人たちの思いが刻まれた石碑も残っていくことだろう。永い時を生きてきた古木や朽ちることなく残された石造物を見るたびに、人の世のはかなさに想いを馳せる。

わたしはあと何回、桜を見ることができるのだろうか。

(参考)2023年の東京の桜開花宣言は3月14日、福島市は3月24日、共に観測史上最も早い記録でした。

会津若松市教育委員会の説明板