ふつうの人にはどうでもいいもの
神奈川県相模原市緑区名倉 藤野芸術の道
知らない名前ばかりだった作家の中に、聞き覚えのある人を見つけた。
斉藤史門。彼の作品は都庁や臨海副都心、鶴見駅前などで見たことがある。
「庵(いおり)」と名づけられたその作品を訪ねてみると、中で親子が遊んでいる。
仕方がないのでやり過ごして先に進むと「包丁岩」という立札が立っていた。木々の中に露出した岩が包丁の刃をを立てたように見える。
その向かい側にシュタイナー学園という学校があり、その駐車場に「森の記念碑」という作品があった。
あれこれ見て庵に戻ってみると、今度は女性が二人、作品の前で話し込んでいる。どうやら学校に子どもを迎えに来たママ友らしい。まわりに何台か車が止まっていて、車の中で待っている人の姿も見える。
とりあえず裏に回ってみると子供が二人、作品に落書きをしていた。「あれあれ?」という顔で近づくと、「中にもいっぱい書いてあるよ」という。どれどれ、とチェックをするふりをして庵の中を鑑賞できた。
しかし表の女性たちは動く気配がない。彼らにはアート作品も、それを見に来た人も、どうでもいい存在なのだな。