生まれるもの
神奈川県相模原市緑区名倉 藤野芸術の道
地面を裂いて芽が出る。卵の殻を割って雛が生まれる。母の産道を抜けて子どもが新しい世界へ飛び出す。生命の誕生の瞬間には大きなエネルギーが発せられるものだ。
「芽軸」はそんな生命誕生に関わるエネルギーの大きさ、力強さを表した作品だ。
瞬間瞬間に大きな力を出しながらも、命の営みそのものは、永い時間をかけて静かに淡々と続けられていく。
瞬間と永遠。動と静。
「回帰する球体」は「芽軸」に対して、そんな対比したイメージを提起しているように見える。
「回帰〜」はアート作品ではあるけれど、時間とともに苔むし、なんと発芽(!?)までしていた。
深い森の奥や光の届かない深海で密かに営々と育まれている命に出会って、その健気さ、尊さに胸を打たれることがあるけれど、それに似た感情が湧いてくるのを感じた。