2023年6月13日(火)

LUV と HATE

東京都渋谷区神宮前3-28-7 San Francisco Peaks

LUV

「何かが見えている人」がいる。

以前はそういうものをオカルト的なものとして真に受けていなかったけれど、父が認知症になった時に本当にそういう人がいると知った。「見える」ということは単なる光学的な反応ではなく、網膜に映し出されたイメージをどう解釈するかという脳(認知)の問題なのだ。

HATE

はじめてLyの"PARK'S GRAY"を見た時、川上弘美のことが頭に浮かんだ。彼女の小説には、こんな風に得体の知れない何者かが何の違和感もなく隣にいるような日常が書かれた作品が多い(気がする)。

彼女たち(※)にはそういう何かが見えているのかもしれない。

"PARK'S GRAY"(2013)に描かれた顔も手もないキャラクターの名前はHATE。作者がスランプの時に心の中に現れたモンスターで、名前の通り「何もかも嫌」という気持ちが表れている。

LUV(ルーヴ)はこの4年後に描かれた。まっすぐに前を見つめる姿に、立ち直った彼女の思いが投影されている。

原宿の路地裏に潜むモンスターたち。時々上からポスターを張られて隠されていることがある。ポスターを張った人は彼らを見たくないものとして隠しているのか、それともその姿が見えていないのだろうか?

※ Ly(リー)は東京生まれの女性ペインター