逢 坂 橋
東京都八丈島八丈町大賀郷 一周道路・地点標3-5間
前回来た時には、この絶景を4枚の写真に分けて撮り、それを貼り合わせてパノラマにした。
あれから20年以上の時が経ち、今はスマホを使って簡単にパノラマ写真が撮れるようになった。はるかな時の隔たりに想いを馳せてしみじみとする一方、見える風景が全然変わっていないことに人生の小ささを感じる。
ここから約1.3km、標高差100mを結ぶ道は「大坂」という坂ではなく、山の斜面に沿って架けられた「逢坂橋」と「横間橋」という橋の上を通っている。視界を遮るものの無い、空を飛ぶような道をジェットコースターのように一気に駆け下る爽快感は今日一番、最高のアトラクションだ。
八重根港まで下りて振り返ると、巨大な白龍が山に這い上っているかのような逢坂橋の姿が見えた。龍は険しい山を登り切れず、山に穴をあけて(大坂トンネルで)坂上の集落へと進んでいく。
今の道でもあの坂を上っていくのは大変なのに、この橋もトンネルもなかった昔の往来の厳しさはいかばかりだったろうか。
山が険しかったら越えなくてもいいじゃないか、海が広かったら渡らなくてもいいでしょう、と思うけれど、そこを越えて世界を広げてきたのが人間というもの。橋を架けトンネルを掘っても進もうとする先人の思いの強さには感服する。
ちなみに、坂上の樫立、中之郷、末吉には坂下(大賀郷、三根)にはない温泉が集中している。それも道を拓く先人のモチベーションになったかもね。