NIKE / SUMMER
東京都中央区新川2-27 東京住友ツインビルディング
築山を隔ててお互い背中合わせにたたずむ二人。全然関係のない二人なのだが、こうして写真を並べてみると何か物語が産まれそうな気がする。
左足のかかとを上げ、少し前のめりに座るSUMMER。どこかに遊びに行こうよと誘っているように見える。
一方NIKEは深く折った右足の膝に顎を乗せ、物思いにふけっている風情。一人で行ってくればいいじゃない、といなしている。
あるいは何か問題があって、あなた一体どういうつもりなのと問いただすNIKEに対して、落ち着かない対応のSUMMERかな。
朝倉作品は女性モデルの名前をそのままタイトルにすることが多いけれど、SUMMERは少年像でタイトルも名前ではなさそうだ。開襟シャツに丈の短いホットパンツをはいた姿に、夏らしい季節感とそこで発揮される青春のきらめきのようなものを感じる。
…と書いて、ふと思った。SUMMERは少年なのかな。ボーイッシュな女性ということは無いだろうか。制作された1984年当時はまだ、今ほどジェンダー問題に対する理解が進んでいなかった。ちょっと憂い顔に見えるSUMMERの表情は、そのことで何か言いたいことがあるのに逡巡しているところなのではないだろうか、と。