籠場の滝
福島県いわき市小川町上小川 夏井川渓谷
夏井川に沿って県道135号を上っていく。いわき市街から30分も走ると人家はまばらになり、小川郷を過ぎて41号に合流すると山道になった。道路の渓谷側は木に覆われていて様子がよくわからない。紅葉の気配もなくどうしたものかと思いながら走っていたら、突然目の前が開けた。
渓谷は両岸を切り立った岩壁に囲まれた廊下状になっていて、その奥に滝が落ちているのが見える。あまりの美しさに平藩主が籠をとめて景色を眺めたことから名付けられたと言われる籠場の滝だ。
その先にある「←篭場の滝」という案内板に従って渓谷に下りていくと滝の落ち口に出た。上流にも小さな滝が見える。
大岩の上からこわごわと覗いて見るが滝の姿は見えない。下から滝を見る遊歩道の類は無いようなので、意を決して岩壁を降りてみることにした。
岩はしっかりしているのでルートさえ間違えなければ難しいことはないのだが、やはり若い頃のようにスイスイとはいかないものだ。おっかなびっくりへっぴり腰で谷底にたどりつくと、目の前に轟々と音を立てて落ちる滝が見えた。
高さは5mほど。掛け軸に描く一筋の滝というよりは、周りを囲む白い花崗岩の巨岩とあわせて屏風絵にしたい感じのパノラマ感が素敵だった。