記憶への回廊
石川県珠洲市三崎町小泊17-33-1 旧小泊保育所
壁いっぱいを迷路で覆われた廊下の先に光が見える。タイトル通りであればあの光は記憶の彼方、過去から射しているはずだが、作者が制作を終えてコメントしているようにこの回廊は未来へ続いている。あれは未来の光なのか。
その光の先には深海のように青く静謐な空間が広がっていた。
その底を真っ白な塩が覆っている。中央にそびえる塩の階段は途中で二ヶ所が崩れている。愛する妻と妹。作者が味わった二回の大きな喪失を表しているのだという。
しかしそれを乗り越えて歩んで行く、その先に未来がある。そんなようなことを解説する学芸員の方がおっしゃっていた。
2021年に開催された奥能登国際芸術祭2020+で制作され、その後も常設されている。数ある作品の中でも訪問者の多い作品なのだそうだ。
難しいことを考えず、ただ青と白の美しさを味わうだけでもいい。今日は窓の外に紅葉も見えた。