雄 島
宮城県宮城郡松島町松島浪打浜24
観光客で賑わう松島海岸から南へ下り、レストランや土産物屋の入った宮城県松島離宮を過ぎると、急に人影がまばらになる。その先にあるのが雄島だ。
赤い欄干の渡月橋を渡ると、散策路の脇に並ぶ岩窟の数々に目を奪われる。中には石仏が祀られていて厳かな雰囲気が漂っている。
岩窟は諸国から訪れた僧侶らがこもって修行をした跡だ。岩窟が二階建てになっているところもあり、たくさんの信者が集まっていたことが分かる。
無数の島々が浮かぶ松島の景色は、浄土へと続く景色とされ、極楽浄土への迎えを「待つ島」とも言われていた。「浄土への入口」とされた雄島では、亡くなった人の骨を島に納める風習が明治になるまで続いていたという。
以前見たNHKの番組「ブラタモリ」(※)では、タモリが拾った白いものが小石や木の枝ではなく人骨のかけらだったというエピソードが紹介されていた。最近は個人に特定した墓を建てない樹木葬などをする人が増えているが、雄島はまさに島全体がそういう霊場となっているのだ。
※ #244「松島〜なぜ人は松島に心ひかれる?〜」 2023年8月19日放送