2024年4月11日(木)

おもいでをかたちに

福島県双葉郡富岡町大字本岡字新夜ノ森12-4 夜ノ森駅

モニュメント

震災前の夜ノ森駅はツツジの名所だった。

のちに町長となる半谷(はんがい)六郎が上京の際に見た駒込駅のツツジに感銘を受け、昭和14年(1939)に300株を植樹したのを始まりに桜と共に富岡町の観光資源として育てていったのだそうだ。

駅

しかし、原発事故後の復旧に向けた除染作業の過程でツツジはすべて伐採されてしまった。2020年の営業再開を機にツツジの再生プロジェクトが始動したが、元の姿に戻るのには長い時間がかかることだろう。

降り立った夜ノ森駅に併設して、新しいけれど何か懐かしいような雰囲気のある建物が建っていた。原発事故後に解体された旧駅舎をイメージして、待合室として再現されたものだ。

駅前広場のまわりには、主を失った廃屋が今も手付かずのまま残っている。この駅舎のように再生されて住民が戻って来る日はいつになるのだろうか。

失われたもの。失ったけれど再生されたもの。復興半ばの駅前に、「おもいでをかたちに」と題されたモザイクタイル絵が静かにたたずんでいた。

キャプション(おもいでをかたちに)