2024年4月11日(木)

夜の森桜並木

福島県双葉郡富岡町夜の森北 / 夜の森南

チューリップ

写真だけ見ればわが家の近くでも見ることのできる桜並木だけれど、現地に立ってみると特別な思いが去来する。2011年の原発事故以降、2022年1月に帰還困難区域の立ち入り規制が緩和されるまで、一般には見ることの叶わなかった景色だからだ。

トンネル

今も住民は戻っておらず、沿道には空き家や空き家を取り壊した空き地がひろがっている。こんなに見事に桜が咲いているのに往来する人も車も少ない。

この桜並木は、明治33年(1900)に夜の森地区の農地開発を始めた半谷清寿(はんがいせいじゅ)がその記念として300本の桜を植えたが始まりとされている。約2.5kmの区間に1,000本以上の桜が植えられ、満開になれば見事な桜のトンネルが道を覆う。

震災前には福島を代表する桜の名所として多くの人を集めていた。町民にとっても数々の思い出が刻まれた大切な場所であったことだろう。

震災が無ければ、わたしがこの桜並木を知ることはなかったかもしれない。こんなに素敵な景色なのに、その方が(知る機会がなかった方が)よかったと思ってしまうのがつらい。

余計な感傷なしに、ただ「桜がきれいだね」と言える日が一日も早く来ることを願っている。

(参考)2024年の福島県の桜開花宣言は、福島市4月3日(気象庁)いわき市4月1日(小名浜まちづくり市民会議/(一社)いわき観光まちづくりビューロー)でした。