松本城
長野県松本市丸の内4-1
白鷺城の別名を持ち屋根まで白い姫路城をはじめ、今までに見てきたお城はどこも壁が白漆喰で塗られて白かった。お城と言えば白というイメージが強い中、黒い城として有名なのが松本城だ(※)。
黒い外観が五層六階の大天守をきりりと引き締め、美しくまた威厳のあるアルプスの峻峰のようにも見える。
大天守に登ってみた。城内の通路は狭く階段は急で、体の大きな外国人や足腰の弱い年配者は苦労している。城攻めは厳しいものなのだ。
館内の展示は鉄砲に関するものが充実していた。松本城は鉄砲による攻防を想定して建てられたものなのだそうだ。銃や矢を撃つための狭間がたくさん開いている。一説には、狭間からのぞく銃身を隠すために壁を黒くしたとも言われている。
最上階は狭く窓も少なくてゆっくり展望を楽しむ雰囲気ではない。下りも難儀で渋滞しているので、上がってきた人たちはみなろくに景色も見ずに下りるための長い待ち行列に並び始める。
せっかく上って来たのになんてもったいない。小さな窓に切り取られているとはいえ、眼下に広々と広がる城下町の眺めがすばらしい。今日は天気も良く、アルプスの山並みもよく見える。場所取りのライバルがいないのを幸い、窓の格子にしがみついて存分に絶景を楽しんできた。
※ その色から「烏城(からすじょう)」と呼ばれることがあるが、烏城と呼ぶ文献は確認されていないため、別名は「深志城(ふかしじょう)」が正しいというのが松本城管理事務所の公式見解。