旧山辺学校校舎
長野県松本市里山辺2932-3 旧山辺学校歴史民俗資料館
今回の松本行きでは2019年に国宝に指定された旧開智学校を見るのを楽しみにしていたのだが、残念ながら耐震工事のため現在は休館中。仕方がないので、と言うとおかしいが、やはり擬洋風建築の旧山辺学校を訪ねてみた。
総工費1万1千余円(当時)という巨費を投じて建てられた開智学校に比べると質素(工費は約1,500円)に見えるけれど、八角形の塔屋など洋風の要素も取り入れつつ伝統的な意匠も加味された素敵な建物だ。新しい時代を迎え、子どもたちに未来を託す思いが全体にみなぎっている。
佐久の旧中込学校や以前見に行ったことのある山梨の旧室伏学校(ともに明治8年築)などこの時代の学校建築には立派な擬洋風建築のものが少なくない。ところが「擬洋風」という通り西洋の近代的な技術を正しく取り入れたものではなかったため、ここでの展示解説によると、明治20年代に「日本風を基本にして、外観を飾るのではなく頑丈に建てること」という文部省からの通達があって、以降下見板張りの木造校舎が各地に建てられるようになったのだそうだ。
松本駅から4qほど離れているので訪れる人は少ないようだが、道はわかりやすく景色もよくてサイクリングで訪ねるのにちょうどいい。