つなぎ温泉
岩手県盛岡市繋湯ノ舘146 繋温泉神社
弘法大師が杖を突いたところからお湯が湧いたという話が各地の温泉場に伝わっている。登場人物は地方によって別の高僧や神話の神、修験者(山伏)などに変わり様々なバリエーションが生まれている。
「信玄の隠し湯」など武将が戦の傷を癒したとされる温泉も多い。
いずれも湯治による効能を宣伝するために、神仏の霊験や有名な武将を引き合いに出して伝えられたものだ。
つなぎ温泉もその由来は平安時代の武将・源義家にあるとされている。義家が温泉を発見した際に、穴のあいた石に愛馬を繋いだことからその石を繋石(つなぎいし)と呼び、温泉の名前にもなった。繋石とされる石が今も大切に保存されている。
源義家の宣伝効果があったかなかったか、温泉は「盛岡の奥座敷」と呼ばれて賑わっている。盛岡市がニューヨーク・タイムズの「2023年に行くべき52カ所」のひとつに選ばれたせいか、外国人観光客の姿もちらほらと見かけた。
温泉があると観光地としての魅力が増す。だから、無理やりボーリングで深い穴を掘って開発するところもあるけれど、有名な誰かが見つけたとか動物たちが湯治に来ていたとかいう物語があると親近感が湧く。ここもそんな温泉地の一つだ。