インド水塔
神奈川県横浜市中区山下町279 (山下公園)
山下公園の大桟橋寄りに、小さなイスラム様式の四阿が建っている。中央に据えられた水飲み場はすでに使えなくなっているけれど、日陰を求めて立ち寄り、天井のきれいなモザイク模様に感心していく人が今も絶えない。
これは大正12年(1923)9月1日に起きた関東大震災の際、被災した外国商人たちに対して横浜市が救済の手をさしのべたことに対する返礼として、インド商組合から寄贈されたものだ。これまでなら、心温まる物語のひとつとしてちょっと心に引っかかるだけだったかもしれないけれど、3月11日の東日本大震災を経験した今ではその重みが全く違って見えてくる。
そもそも、山下公園は関東大震災によって生じた大量の瓦礫で海を埋め立てて作られている。この建物が寺院のように見えるのは、亡くなられた方々に対する追悼の意味も込めているからなのだろう。
今回の震災でも、国内外からたくさんの支援の手が被災地に対してさしのべられている。そのたくさんの力が支えとなって、一日も早い復興が成し遂げられることを願ってやまない。