山手資料館
神奈川県横浜市中区山手町247
外国人墓地の正面にあるレストラン山手十番館の庭園内に併設された山手資料館は、横浜に残る明治の木造西洋館としては唯一のものだ。明治42年(1909)に本牧に建てられた旧中澤邸をレストランのオーナーが買い取り、昭和52年(1977)に山手へ移築された。
設計・施工者の詳細は伝えられていないが、市内戸部村の大工が建てたものらしい。日本人大工の手になるとはいえ、外国人居留地のある横浜で西洋の技術を吸収した見事な技が随所にみられる。
正面上部の妻壁に配置された二連のアーチ窓を縁取るようにデザインされた屋根側面のアーチは、三つ葉のクローバーのような、モクモクと湧く雲のような…。二階の窓を目に見立てれば、カツラを被った中世の音楽家にも見えて楽しい。
庭園にはきれいなバラが咲き、カラフルにペイントされた洋館に良く映える。横浜に数ある洋館の中でも、フォトジェニックなことでは一二を争うのではないだろうか。